6・05『バッターアウト』
 バッターは、次の場合、アウトになる。
(a)フェア飛球またはファウル飛球(ファウルチップを除く)が、野手に正規に捕らえられた場合。
「原注」野手は捕球するためにダッグアウトの中に手を差し伸べることはできるが、足を踏み込むことはできない。野手がボールを確捕すれば、それは正規の捕球となる。ダッグアウトまたはボールデッドの箇所(たとえばスタンド)に近づいてファウルフライを捕らえるためには、野手はグラウンド(ダッグアウトの縁を含む)上または上方に片足または両足を置いておかなければならず、またいずれの足もダッグアウトお中またはボールデッドの箇所の中に置いてはならない。正規の補給の後、野手がダッグアウトまたはボールデッドの箇所に倒れ込まない限り、ボールインプレイである。ランナーについては7・04(c)「原注」参照。
「注」我が国では、正規の捕球の後、野手がダッグアウトまたはボールデッドの箇所に踏み込んでしまえば、ボールデッドとする。
(b)第3ストライクと宣告された投球を、キャッチャーが正規に捕球した場合。
「原注」正規の捕球ということは、まだ地面に触れていないボールがキャッチャーのミットの中に入っているという意味である。ボールがキャッチャーのユニフォームまたは用具に止まった場合は、正規の捕球ではない。また球審に触れてはね返ったボールを捕らえた場合も同様である。チップしたボールが最初にキャッチャーの手またはミットに触れてから身体または用具に当たってはね返ったのを、キャッチャーが地上に落ちる前に捕球した場合ストライクであり、第3ストライクに当たるときはバッターはアウトである。またチップしたボールが最初にキャッチャーの手またはミットに当たっていれば、キャッチャーが身体または用具に手またはミットをかぶせるように捕球することも許される。
(c)無死または1死で1塁にランナーがあるとき、第3ストライクが宣告された場合。
「注」無死または1死で1塁(1・2塁、1・3塁、1・2・3塁のときも同様)にランナーがいた場合には、第3ストライクと宣告された投球をキャッチャーが後逸したりまたはその投球が球審かキャッチャーのマスクなどに入り込んだ場合でも、本項が適用されてバッターはアウトになる。
(d)2ストライク後の投球をバントしてファウルボールになった場合。
(e)インフィールドフライが宣告された場合。
(f)2ストライク後バッターが打った(バントの場合も含む)が、投球がバッドに触れないで、バッターの身体に触れた場合。
(g)野手(ピッチャーを含む)に触れていないフェアボールが、バッターランナーに触れた場合。
(h)バッターが打つかバントしたフェアの打球にフェア地域内でバットが再び当たった場合。ボールデッドとなってランナーの進塁は認められない。これに反してフェアの打球が転がってきてバッターが落としたバットにフェア地域内で触れた場合はボールインプレイである。ただし、バッターが打球の進路を妨害するためにバットを置いたのではないと審判員が判断したときに限られる。(7・09b参照)
「原注」バットの折れた部分がフェア地域に飛びこれに打球が当たったときまたはバットの折れた部分がランナーまたは野手に当たったときは、プレイはそのまま続けられ妨害は宣告されない。打球がバットの折れた部分にファウル地域で当たったときは、ファウルボールである。バット全体がフェア地域に飛んでプレイを企てている野手(打球を処理しようとしている野手だけでなく、送球を受けようとしている野手も含む)を妨害したときには、故意であったか否かの区分なく妨害が宣告される。打撃用ヘルメットに偶然打球または送球が当たったときは、ボールインプレイの状態が続く。打球がファウル地域で打撃用ヘルメット、地面以外の異物に触れたときはファウルボールとなり、ボールデッドとなる。ランナーがヘルメットを落としたりボールに投げつけて打球または送球を妨害しようとする意図があったと審判員が判断したときには、そのランナーはアウトになりボールデッドとなって、他のランナーは打球に対してのときはピッチャーの投球当時占有していた塁、送球に対してのときは妨害発生の瞬間に占有していた塁に帰らなければならない。
「注」本項前段を適用するに当たっては、バッターがバットを所持していたかどうかを問わない。
(i)バッターが打つかバントした後、1塁に走るに当たってファウルボールの進路をどんな方法であろうとも故意に狂わせた場合。ボールデッドとなってランナーの進塁は認められない。
(j)バッターが第3ストライクの宣告を受けた後またはフェアボールを打った後、1塁に触れる前に、その身体または1塁にタッチされた場合。
「注」タッチするに際しては、まずボールを保持して触れることが必要なことはもちろん、タッチ後においても確実にボールを保持していなければならない。また野手がボールを手にしていてもそのボールをグラブの中でジャッグルしたり、両腕と胸とでボールを抱き止めたりしている間は、確実に捕らえたとはいえないから、例えばッターが1塁に触れる前に野手が塁に触れながらボールを手にしていても、確捕したのがバッターが1塁に触れた後であればそのバッターはアウトにならない。
(k)1塁に対する守備が行われているとき、本・1塁間の後半を走るに際して、バッターがスリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走って、1塁への送球を捕えようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合。この際は、ボールデッドとなる。ただし、打球を処理する野手を避けるためにスリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走ることは差し支えない。
「原注」スリーフットラインを示すラインは、そのレーンの一部であり、バッターランナーは両足をスリーフットラインの中もしくはスリーフットラインのライン上に置かなければならない。
(l)無死または1死でランナー1塁、1・2塁、1・3塁または1・2・3塁のとき内野手がフェアの飛球またはライナーを故意に落とした場合。ボールデッドとなって、ランナーの進塁は認められない。
「付記」内野手が打球に触れないでこれを地上に落としたときには、バッターはアウトにならない。ただし、インフィールドフライの規則が適用された場合は、この限りではない。
「注1」本項は容易に捕球できるはずの飛球またはライナーを、内野手が地面に触れる前に片手または両手で現実にボールに触れて、故意に落とした場合に適用される。
「注2」ピッチャー、キャッチャー及び外野手が内野で守備した場合は、本項の内野手と同様に扱う。またあらかじめ外野に位置していた内野手は除く。
(m)野手があるプレイを成し遂げるために、送球を捕らえようとしているかまたは送球しようとしているのを前位のランナーが故意に妨害したと審判員が認めた場合。
「原注」この規則は攻撃側プレーヤーによる許しがたい非スポーツマン的な行為に対するペナルティとして定められたものであって、ランナーが塁を得ようとしないで、併殺プレイのピボットマン(併殺の際、ボールを継続するプレーヤー。すなわち遊撃手―2塁手―1塁手と渡る併殺ならば2塁手、2塁手―遊撃手―1塁手の併殺ならば遊撃手がピボットマンである)を妨害する目的で、明らかにベースラインから外れて走るような場合適用されるものである。
「注」まだアウトにならない前位のランナーの妨害行為に対する処置は、本項では定めていないように見えるが、7・08(b)に規定してあるとおり、このような妨害行為に対しては、そのランナーはもちろんバッターも共にアウトにする規則であって、このような粗暴な行為を禁止するために規定された条項である。すでにアウトになったランナーの妨害行為に対しては、7・09(f)に規定されている。
(n)2死2ストライク後ホームスチールを企てた3塁ランナーが、バッターへの正規の投球にストライクゾーンで触れた場合。この際バッターは、第3ストライクの宣告を受けてアウトとなり、そのランナーの得点は認められない。しかし、無死または1死であれば、バッターは第3ストライクの宣告を受けてアウトとなりボールデッドになるが、その得点は認められる。
「注」無死または1死の場合には他の塁のランナーにも、次塁への走塁行為があったかどうかに関係なく、1個の進塁が許される。(5・09h参照)