4・09『得点の記録』
(a)3人アウトになってそのイニングが終了する前に、ランナーが正規に1塁、2塁、3塁、本塁に進み、かつ、これに触れた場合には、その都度1点が記録される。
「付記」第3アウトが次のような場合には、そのアウトに至るプレイ中に、ランナー(1・2にあたる場合は、全ランナー、3に当たる場合は後位のランナー)が本塁に進んでも、得点は記録されない。
 (1)バッターランナーが1塁に触れる前にアウトにされたとき。(6・05、6・06参照)
 (2)ランナーがフォースアウトされたとき。(7・08e参照)
 (3)前位のランナーが塁に触れ損ねてアウトにされたとき。(7・10a、b、7・12参照)
「原注」
規則説明
 バッターランナーのアウトが1塁に触れる前のアウトの形をとり、それが第3アウトにあったときは、たとえ他のランナーがそのアウトの成立前か、あるいはそのアウトが成立するまでのプレイ中に本塁に触れても得点は記録されない。
例1:1死ランナー2・3塁のときバッターがヒットしたので3塁ランナーは容易に本塁に達したが、2塁ランナーは本塁への送球でアウトにされて2死となった。この間バッターランナーは2進していたが、途中1塁を踏んでいなかったので1塁でアピールされてバッターはアウトになり、3死となった。3塁ランナーは、バッターランナーが1塁に触れる前のアウトで、しかも第3アウトに当たる場合のプレイ中に本塁に触れたのであるから、その得点は記録されない。
例2:2死満塁のときバッターはフェンス越えのホームランを打って4人とも本塁を踏んだが、バッターは1塁を踏まなかったのでアピールされてアウトになった。この場合、バッターのアウトは1塁に触れる前の第3アウトの形をとるから、無得点である。
規則説明
 前位のランナーが塁を触れ損ねたためにアウトにされた場合、正しい走塁を行った後位のランナーに関しては、そのアウトが2死または1死にあたるときと、3死にあたるときとでは事情が違う。
例1:1死ランナー1・2塁のとき、バッターは場内ホームランを打った。2塁ランナーは本塁へ達する間に3塁を空過した。1塁ランナーとバッターは正しく塁を踏んで本塁に達した。守備側は3塁に送球してアピールしたので審判員は2塁ランナーに対してアウトを宣告して、2死となった。=1塁ランナーとバッターの得点は認められる。
例2:2死ランナー2塁のときバッターが場内ホームランを打ち2人とも本塁を踏んだが2塁ランナーは3塁を空過したので、アピールによってアウトにされ3死となった。=バッターは正しく本塁を踏んではいるが、得点には数えられない。
規則説明
 前位のランナーが塁に触れ損ねるか、飛球が捕らえられたときにリタッチを果たさなかったために第3アウトとなった場合、後位のランナーは正しい走塁を行っていても得点とはならない。
例1:1死ランナー2・3塁のときバッターがセンターフライを打ってアウトになり2死となった。3塁ランナーはそのフライアウトを利して本塁に触れ2塁ランナーも本塁への悪送球によって得点した。このとき3塁ランナーに対してアピールがあり、捕球前に3塁を離れたものと判定され3死となった。=無得点である。
規則説明
 塁を踏み損ねたランナーまたは飛球が捕られたときにリタッチを果たさなかったランナーに対して守備側がアピールした場合、審判員がそれを認めたときにそのランナーはアウトになる。
例1:1死ランナー1・3塁のときバッターのライトフライで2死となった。3塁ランナーは、捕球後3塁にリタッチして本塁を踏んだが、1塁ランナーは2塁へ向かっていたので1塁に帰塁しようと試みたが、右翼手の送球でアウトになった。3塁ランナーはそのアウトより早く本塁を踏んでいた。1塁ランナーのアウトはフォースアウトでないからその第3アウトより早く本塁を踏んだ3塁ランナーの得点は記録される。
「注1」第3アウトがフォースアウト以外のアウトでそのプレイ中に他のランナーが本塁に達した場合、球審は、そのランナーにアピールプレイが残っているか否かに関係なく、本塁到達の方が第3アウトより早かったか否かを明示しなければならない。
「注2」本項はバッター及び塁上のランナーに安全進塁権が与えられたときも適用される。例えば、2死後あるランナーが他のランナーに先んじたためにアウトになったときはそのアウトになったランナーよりも後位のバッターまたはランナーの得点が認められないことはもちろんであるが、たとえアウトになったランナーより前位のランナーでも第3アウトが成立するまでに本塁を踏まなければ得点は認められない。ただし、2死満塁で、バッターがフォアボールを得たとき、他のいずれかのランナーがいったん次塁を踏んだ後にアウトになったときだけ、その第3アウトが成立した後に3塁ランナーが本塁を踏んでも、得点と認められる。(7・04b「原注」参照)
(b)正式試合の最終回裏または延長回の裏、満塁でバッターがデッドボールその他のプレイで1塁を与えられたためにランナーとなったので、3塁ランナーが本塁に進まねばならなくなり得点すれば勝利を決する1点となる場合には、球審はそのランナーが本塁に触れるとともにバッターが1塁に触れるまで試合の終了を宣告してはならない。
「ペナルティ」上記の場合3塁ランナーが適宜な時間がたっても、あえて本塁に進もうとせず、かつ、これに触れようとしなかった場合には球審は、その得点を認めず規則に違反したプレーヤーにアウトを宣告して試合の続行を命じなければならない。また2死後、バッターランナーがあえて1塁に進もうとせず、かつ、これに触れようとしなった場合には、その得点は認めず規則に違反したプレーヤーにアウトを宣告して、試合続行を命じなければならない。無死または1死のときバッターランナーがあえて1塁に進もうとせず、かつ、これに触れようとしなかった場合には、その得点は記録されるがバッターランナーはアウトを宣告される。
「原注」本項は記述されているとおりに取り扱われるべきである。例外として観衆が競技場になだれ込んで、ランナーが本塁に触れようとするのを、またはバッターが1塁に触れようとするのを肉体的に妨げた場合には、審判員は観衆のオブストラクションとしてランナーの得点または進塁を認める。
「注」例えば最終回裏、満塁でバッターがフォアボールを得たので決勝点が記録されるような場合、次塁に進んで触れる義務を負うのは、3塁ランナーとバッターランナーだけである。3塁ランナーまたはバッターランナーが適宜な時間がたっても、その義務を果たさなかった場合に限って審判員は、守備側のアピールを待つことなくアウトの宣告を下す。バッターランナーまたは3塁ランナーが進塁に際して塁に触れ損ねた場合も、適宜な時間がたっても触れようとしなかったときに限って審判員は、守備側のアピールを待つことなくアウトの宣告を下す。