10・05『安打』次の場合には安打が記録される。
(a)フェアボールが野手に触れる前にフェア地域に落下するか、フェア地域の後方のフェンスに当たるか、あるいはフェア地域のフェンスを越えたためにバッターが安全に1塁(またはそれより先の塁)に生きた場合。
(b)フェアボールが強すぎるか、弱すぎきたため野手がその打球を処理しようとしたがその機会がなくて、バッターが安全に1塁に生きた場合。
「付記」例えば、ショートが処理すればアウトにできたかもしれないと思われる打球に対して、サードが飛び出してデフレクトしたり、あるいは途中でカットして処理しようとしたが、結局プレイができずに終わったような場合などには、安打と記録する。
「注」デフレクトとは、野手が打球に触れて球速を弱めるか、あるいは打球の方向を変えたことを意味する。
(c)フェアボールが不自然にバウンドしたために野手の普通の守備では処理することがきないか、または野手に触れる前に投手板あるいは各塁(本塁を含む)に触れたために、野手の普通の守備では処理できなくなってバッターが安全に1塁に生きた場合。
(d)野手に触れないで外野のフェア地域に達したフェアボールによって、バッターが安全に1塁に生きることができ、しかもその打球は野手の普通の守備ではとうてい処理できなかったと記録員が判断した場合。
(e)野手に触れていないフェアボールがランナー、審判員の身体または着衣にフェア地域で触れた場合。
「付記」ランナーがインフィールドフライに触れてアウトを宣告されたときには、安打は与えられない。
(f)打球を扱った野手が先行ランナーをアウトにしようと試みたが成功せず、しかもその打球に対して普通に守備しても1塁でバッターランナーをアウトにできなかったと記録員が判断した場合。
「付記」本条各項の適用に当たって疑義のあるときは、常にバッターに有利な判定を与える。
 打球に対して非常な好守備を行ったが続くプレイが十分でなくアウトをとることができなかった場合などには、安打を記録するのが安全な方法である。

10・06『安打と記録しない場合』
(a)バッターの打球で、ランナーが封殺(フォースアウト)されるか、または野手の失策によってフォースアウトを免れたような場合。
(b)バッターが明らかに安打と思われるボールを打ったにもかかわらず、進塁を義務付けられたランナー(バッターランナーがランナーとなったため)が、次塁の触塁を誤ってアピールによってアウトに(フォースアウト)になったときは、そのバッターには安打を与えず、打数を記録する。
(c)打球を扱ったピッチャー、キャッチャーまたは内野手が、次塁を奪おうとするか元の塁へ帰ろうとする先行ランナーをアウトにした場合、あるいは普通の守備でならアウトにできたにもかかわらず失策のためアウトにできなかった場合には、バッターに安打を与えず打数1を記録する。
「注1」ランナーがオーバースライドなどのために、一旦触れた塁を離れてアウトになったときには、バッターはランナーを進めることができたものとみなして、バッターに安打を記録する。
「注2」本項でいう内野手とは、内野手が普通の守備範囲内で守備した場合だけを指し、内野手がその守備範囲を越えて外野で守備した場合には、内野手とはみなされない。例えば、ランナー2塁のとき、バッターがショートとレフトとの中間に小飛球を打ち上げた。2塁ランナーは捕球されるのを懸念して離塁が少なかった。落球を見て3塁へ走ったが、ショートからの送球で3塁でアウトになったような場合には、本項を適用しないでバッターに安打を記録する。
(d)バッターが1塁でアウトになるだろうと記録員が判断したとき、打球を扱った野手が先行ランナーをアウトにしようとして行った送球または触球(タッグ)行為などが不成功に終わったとき。
「付記」打球を扱った野手が、直ちにバッターランナーに向かわないで、わずかに他のランナーをうかがったり、または他の塁へ送球するふりをした(実際には送球せず)ために送球が遅れて、バッターを1塁に生かした場合などには、本項を適用しないでバッターに安打を記録する。
(e)打球を処理しようとする野手を妨害したために、ランナーがアウトを宣告された場合。ただし、ランナーが守備妨害によってアウトになった場合でも、記録員がその打球を安打と判断した場合には、バッターには安打の記録を与える。